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空家の増加に拍車をかける再建築率の低下問題

再築されずに放置される空家

日本では今、放置される空家が社会問題化しています。少子高齢化が原因の一つに挙げられますが、原因はそれだけではありません。再築率の低下など、現代日本における価値観の変化や、人々のライフスタイルの変化、再築がしにくい制度なども影響を与えています。空家増加に拍車をかける再建築率の低下が、なぜ引き起こされているのか解説していきます。

空家の問題だけでなく再建築率の低下も問題に

2013年度の総務省の実態調査によれば、日本における空家数は820万戸に及び、30年前から比べると2倍にも増大しています。
空家の中でも、別荘や売出中や賃貸の入居者待ちの空家ではなく、誰も住まず、何も活用されることもなく放置されている空家が318万戸に達しており、空家全体の4割にものぼっています。放置されている空家の数が過去最高になっただけでなく、古くなった住宅などを建て替える再建築率は過去最低に達しており、2014年度の再建築率は9.1%と調査を始めた1988年度以降、最も低い割合となりました。

少子高齢化や生涯独身世帯の増加

日本では少子高齢化が進み、人口が減少して住宅が余ってしまっている現状をはじめ、生涯独身であったり、子どもがいない世帯や子どもを持たないという選択をした世帯も増えており、自宅を受け継ぐ人も減っています。子どもや親族などが相続しても、そこに住むニーズがないため、老朽化した住宅は建て替えなどされることなく放置され続けています。

日本に根強いマイホーム志向

では、子どもがいる世帯はどうなのでしょうか。子どもがいても少子化に伴い、ひとりっ子世帯も増えています。ひとりっ子どうしが結婚した場合、いずれかの実家を継ぐとしても、もう一つの実家は誰も住む人がいない状態になり、再築の可能性が失われてしまいます。さらに拍車をかけるのが、日本人におけるマイホーム志向の強さです。

ひとりっ子どうしで結婚しても、実家を受け継いで住むのではなく、別にマイホームを購入するケースが多いのです。子どもが複数いるケースでも、兄弟姉妹が独立してそれぞれ別のマイホームを持ち、両親が亡くなった後の実家は誰も住む人がいないまま、再築もされることなく放置されてしまいます。

かつては親が亡くなったら、その家に移り住むといったケースも多くありましたが、今の時代は長寿化で、マイホームを持ちたいと思うときに、親はまだまだ元気です。義理の両親とは暮らしたくないなど、舅や姑との暮らしを避けたいと考えると、自ずと実家とは別にマイホームを持つ流れになるのです。

都心志向やライフスタイルの変化

せっかく実家があるのに受け継ぐ人がいない理由として、都心志向やマンション志向などライフスタイルの変化なども挙げられます。
地方にある実家では今の勤務先に通うのが難しい、都心のほうが便利という理由で受け継がれないケースが増えています。
また、マンション人気もあり、マイホームは戸建てよりもマンションという選択をする人も増えてきました。
その結果、庭付き一戸建ての実家は再築の可能性が消えてしまいます。

再築を阻む状況

実は再築を阻んでいる要因は実家に戻りたくない、実家では生活が難しい、都心やマンションがいい、自分たち好みのマイホームに住みたいという要因ばかりでありません。
自分たち好みに建て替えたり、二世帯住宅を作って家族でどうにか暮らそうという発想もできない事情が実はあるのです。
その一つとして、建築基準法上に設けられている接道義務があります。
4m以上の道路に2m以上接していなければいけないというルールですが、この規定ができる前に建てられた住宅の中にはこの基準を満たしていないケースが少なくありません。
既存住宅に関してはその状態が認められますが、もし解体した場合には既存住宅の例外が適用されなくなり、接道義務を満たさない敷地になってしまいます。
その結果、建物の建築が認められなくなる可能性が高いのです。
すなわち、接道義務を満たしていない実家を再築したくてもできない現実があります。
過去最高にのぼった空家のうち、約80万戸がすでに腐朽・破損してそのままでの利用や売却、賃貸は難しいうえ、接道義務を満たしておらず、再築が困難な住宅は約45%にのぼると言われています。
再築が難しい以上、マイホームとして建て替える人はもちろんのこと、建て替えてアパート経営や貸家経営に当てるわけにもいきません。
解体して更地にしても、建物が建たない用地を誰も買おうとはしないため、解体費用が無駄になるくらいなら放置という結果につながっているのです。

まとめ

住宅が老朽化したらリフォームする、さらに老朽化が進んだり、ニーズに合わなくなったら建て替えるという世帯が減り、老朽化した住宅が放置され続けています。空家の数が過去最高になるだけでなく、再築率も過去最低になり、老朽化したまま放置される空家が増え続けているのが、少子高齢化が進む日本が抱える問題です。

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