室内ドア・引戸の接写を送る前に。擦り傷・欠け・シート剥がれが伝わる撮影順
室内ドアや引戸に傷を見つけると、傷だけを大きく写したくなります。ところが接写一枚では、扉のどの位置にあるのか、木目と傷がどちらの方向へ走っているのか、表面の線なのか材料が欠けているのかが伝わりにくいことがあります。
補修相談に必要なのは、きれいに見せた写真ではなく、損傷の状態を違う距離と光で見比べられる記録です。傷の名称を自分で決めきる必要はありません。全景から品番まで順番に残せば、浅く見える傷と、下の層まで達している可能性がある損傷を分けて検討しやすくなります。
補修方法を決める前に、三つの見え方を分けておく

「傷がある」だけでまとめず、擦れた線、材料が失われた部分、薄い層が浮いた部分を別々に観察します。これは写真による確定診断ではなく、相談時の説明を具体的にするための整理です。
擦り傷は、色と艶の変化をそのまま残す
細い線が見えても、正面からでは段差の有無が分からないことがあります。まずは表面に対して正面から撮り、線の長さ、向き、周囲との色や艶の違いを残します。木目に沿う線なのか、木目を横切っているのかも分かる範囲まで少し引いて撮ってください。
斜めから見ても欠損や段差が確認できない場合は、「正面では線が見えるが、斜めからは段差を確認できない」と記録できます。ここで浅い傷だと断定せず、見えた事実を言葉にするのが適切です。
欠けは、別の色の層と縁の形を見る
表面の一部が失われ、周囲とは異なる色の層や小さなくぼみが見えるなら、正面に加えて横からも撮ります。欠けの輪郭、最も深く見える場所、周囲との段差が一枚に入る角度を探しましょう。「下地のような別色の層が見える」「縁に影ができる」と書けば、深さを検討する材料になります。
シート剥がれは、浮いた端を動かさず撮る
薄い表面層の端が見える、めくれや浮きがある、周囲がふくらんで見える場合は、その形を変える前に記録します。浮いた部分を指で持ち上げたり、押さえた状態だけを撮ったりすると、元の開き方が分からなくなります。正面、端部の横顔、周囲を含む中景の三方向があると説明しやすくなります。
一枚目は寄らず、扉の中の位置を写す

傷の接写を撮る前に、ドアまたは引戸の全体を一枚残します。枠、取っ手、戸先など位置の手掛かりになる部分まで入れると、「室内側の右下」「引戸の戸先寄り」といった場所が写真から読み取れます。
全景では枠まで入れ、いつもの向きを保つ
扉を普段見ている側から、面全体と枠が収まる距離まで下がります。傷が小さく写って見えなくても構いません。全景の役割は傷を拡大することではなく、建具の種類と損傷位置を示すことです。
鏡や強い照明が映り込む場合は、少し左右へ移動します。ただし、写真を回転させたり上下を切り詰めたりせず、床側と上側が分かる状態を残してください。
中景は傷と近くの目印を一緒に入れる
全景の次は、傷と最も近い扉の縁、取っ手、框の境目などが一緒に写る距離まで近づきます。これで損傷範囲と扉内の位置を一枚でつなげられます。複数箇所に傷がある場合は、全景上の位置関係が分かるように、それぞれ同じ向きから撮ると混同しにくくなります。
接写は定規ありと定規なしを分ける
大きさを示す写真では、定規やメジャーを傷の横へ置きます。傷の上に重ねたり、浮いたシートを定規で押さえたりせず、最長部分と目盛りが並ぶ位置に置いてください。長さだけでなく、欠けや剥がれの縦幅も測れると範囲が明確になります。
定規にピントが合って傷がぼやけることもあるため、同じ距離から定規を外した接写も一枚残します。撮影後は拡大し、傷の縁と木目の両方に焦点が合っているか確認します。
木目と深さは、光の向きを変えて記録する

表面に正対した写真は色や木目を記録しやすい一方、小さな段差は見えにくいことがあります。そこで、同じ場所を正面の光と横から入る光で撮り分けます。加工フィルターや強い色補正は使わず、撮影条件の違いが比較できる状態を保ちます。
横からの光で縁と影を拾う
窓や室内照明が傷の横側に来る位置へ移動し、扉の表面を斜めから撮ります。小さな凹凸やめくれがあれば、その縁に影が現れることがあります。片側からの光で木目の濃淡と重なる場合は、反対側からも一枚撮ると比較できます。
フラッシュの反射で表面が白く飛ぶときは、フラッシュを切り、窓からの柔らかい光か室内照明を利用します。「窓を左側にして撮影」など光の方向をメモしておくと、正面写真との違いを説明しやすくなります。
木目は傷の周囲まで広げて撮る
木目調の面では、模様の線と細い擦り傷が重なって見える場合があります。接写だけで終わらせず、傷の前後に続く木目が入る範囲まで引いて撮影してください。木目と平行の向き、木目を横切る向きの両方が分かれば、傷の輪郭を追いやすくなります。
シート剥がれの場合も、浮いた部分だけでなく、その周囲の模様を残します。補修後の見え方を写真だけで約束することはできませんが、色柄と木目方向を相談相手へ伝える資料になります。
品番は、分解せず確認できる範囲を探す

損傷写真を撮り終えたら、メーカー名や品番につながる表示を確認します。扉の端部や枠に見えるラベル、手元の取扱説明書、引き渡し時の書類など、無理なく確認できる範囲で構いません。蝶番やカバーを外して探す必要はありません。
ラベルが見つかった場合は、表示全体と文字の接写を撮り、読める記号を相談文にも書き写します。似た文字を読み違えることがあるため、写真と転記の両方を残しておくと確認しやすくなります。
品番が分からないときは推測せず「不明」と伝える
ラベルが見つからなければ、メーカーや材質を見た目だけで決めず、「品番不明」としたうえで全景写真を添えます。分かる範囲で、開き戸か引戸か、傷のある面、設置時期、傷に気づいた時期を記録してください。
LIXIL製品と確認できた場合は、同社の公式FAQに室内建具・フローリングのキズを補修する方法が案内されています。製品の扱いや注意事項は、あわせて室内建具の取扱説明書ページで確認できます。公式情報は製品を特定して参照し、今回の損傷が同じ状態だと写真だけで決めつけないことが大切です。
写真の順番を保ち、見えた事実を相談文に添える

撮影した写真は、「全景、中景、正面接写、斜め接写、寸法入り、品番」の順に並べます。似た接写が何枚もあるより、それぞれの写真の役割が違うほうが、位置と範囲をたどりやすくなります。
- 建具と枠が分かる全景
- 傷と取っ手や扉の縁が入る中景
- 木目と輪郭が分かる正面接写
- 光を横から当てた斜め接写
- 定規を添えた寸法写真
- 見つかった場合はメーカー名・品番表示
相談文に添える観察メモ
- 場所:室内側、戸先側、床からのおおよその位置など
- 見え方:線、欠損、別色の層、浮いた端、段差の影など
- 範囲:最長部分と縦幅
- 変化:広がっているか、発見時から変わらないか
- 製品情報:メーカー名、品番、設置時期が分かれば記載
「擦り傷か剥がれか分からない」ときは、無理に呼び名を決めず、「角度を変えると縁に影が出る」「薄い層の端が見える」のように観察したまま伝えます。写真がそろった段階で補修について相談する場合は、HouseTailorsのお問い合わせフォームから、画像と観察メモを送付してください。全景から品番までを一続きにしておくことが、表面傷と下層に達した可能性のある損傷を検討するための土台になります。
